おもいつかない からはじまった。

コピーライター養成講座に通う、ポンコツ3人が、コピーライターとして成功するまでのはなし

【映画のこと】

 

万引き家族」を鑑賞してきました。

その感想を書き留めておきたいと思います。

 

以下、感想ですが、多少ネタバレがあります。

気になる方はお控えください。

 

※映画「万引き家族」とは、第71回カンヌ国際映画祭、長編コンペティション部門にて、最高賞のパルムドールを受賞した作品のこと。この作品は、是枝裕和監督(55)によって、制作された。

 

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盗んだのは、絆でした。

 

 

youtu.be

 

感情がほとばしるとは、こういうことか、と思った。

それは演技とは思えないほどの、感情そのもの。

人から生まれる、本当の感情。

本当だけの感情。

演技なんていらない。

人間の本質的な感情の機微。

深く、深く、潜ったものだけにしかわからない。

 

 

警察官の質問。

果たしてそれは正義なのか、悪なのか。

常識を疑わない大人は、時に正義を勘違いする。

わたしには、正義を振りかざした悪意に見えた。

相手の核心をえぐるための、意図した悪意。

傷つけて、もう二度と立ち直れなくするための、悪意。

ただし、間違ってはいないという事実。

事実を突きつけるだけの、事実。

とても悲しい正義だと思った。

 

それを正義と言うのなら、

あまりにもこの世界は残酷すぎる。

 

本当の家族ってなんだろう。

血のつながりや、過ごした時間や、思いやりや。

そんな薄っぺらい言葉の羅列で、

片づけられるものなのか。

 

きっとそこに愛はあった。

きっとそこに家族はあった。

たとえそれが、事実だとしても。

人生には変えられない、事実もある。

 

その瞬間があったことを。

その瞬間を生きたことを。

 

みんなはお守りのように、心に抱いて生きていく。

何かある度に、あの瞬間を生きたことを思い出す。

 

一緒には生きていけないから。

一緒には暮らしていけないから。

 

愛している、

愛していた、

 

だからこそ、

正しく生きてほしかった。

 

子どもは大人が思っているよりも、大人だ。

世界の仕組みをわかっている。

本当の正しさとは、何かを知っている。

だからこそ、裏切りは許せなかった。

自分を裏切ったことではない。

生きていくことの裏切り。

正しく生きていくことの裏切り。

 

子どもは大人が思っているよりも、強かだ。

守られる、弱い立場なのは変わらない。

しかし、思っているより強かに生きていける。

一度誰かに本気で愛されたなら。

その瞬間があったことは、きっと忘れない。

愛された記憶は忘れない。

 

同じことは繰り返さない。

負の連鎖を断ち切る。

それこそが、彼女の選んだ道。

そして、そこに家族はあった。

彼らにとっての家族は、

その瞬間にだけ存在した。

 

そして、大人も知ったのだ。

自分じゃ足りないということ。

もう二度と会えないということ。

もう二度と会わないと決めたこと。

 

大人も、子供も、本当のことを知った。

 

大きな、大きなものを失って初めて、

大人になりきれなかった大人は、知った。

 

本当のことを知った。

本当のことを守った。

 

自分が生きる人生、

それ以上に必要なものって

あるだろうかと思う。

 

愛はあった、

家族はあった、

その瞬間はたしかに存在した。

 

それしか、それだけしか、言えない。

 

わたしには、それしか言えない。

 

希望、祈り、わからないけど、

それだけしか言えない。